左をやちゃってる人
加害者の意識がないらしい
恐ろしいね— ごーど|「心の余裕」の作り方を学ぶ (@SureGoahead) December 07, 2025
ねぇ、あなたの職場にも、なんだか「動けない人」っていますか?そして、その人の分まで頑張っちゃってる「負担を背負う人」。この構図、じつは多くの職場で起こっている、とっても人間らしい現象なんです。今回は、この職場によくあるモヤモヤを、心理学、経済学、統計学といった科学的なレンズを通して、よーく見ていきましょう。なんでこんなことが起きるのか、そしてどうすればもっと良い職場になるのか、一緒に掘り下げていきませんか?
■職場のモヤモヤ、その正体は単なる個人の問題じゃないかも?
「なんであの人は全然動かないんだ?」
「こっちはこんなに忙しいのに、あの人はいつも定時で帰る…」
こんな風に感じたこと、きっと誰にでもあるはず。職場でよく耳にするのが、「心が弱って動けなくなる人(便宜上、ここでは『右』と呼びましょう)」と、そのしわ寄せを受けて負担が増える人(同じく『左』と呼びます)の対立です。まるで綱引きのようですが、これって単なる個人の性格の問題で片付けられる話じゃないんですよ。もっと複雑な、人間の心理や社会の仕組みが絡み合っているんです。
例えば、「左」の人たちが抱えるイライラや疲労感。これには、心理学でいう「公正世界仮説」なんてものが関係しているかもしれません。人は「世界は公平であるべきだ」と無意識に信じたがる傾向があります。だから、自分が頑張っているのに、頑張っていないように見える人がいると、「なぜ不公平なんだ!」と感じて、怒りや不満が募りやすいんです。
一方で、「右」の人たちも、好きで動けなくなっているわけじゃない。もしかしたら、過去に心が折れてしまった経験があったり、燃え尽き症候群の真っ只中にいたりするのかもしれません。心理学者のマーティン・セリグマンが提唱した「学習性無力感」なんて理論がありますよね。これは、どんな努力をしても状況が改善しない経験を繰り返すと、人はやがて努力することを諦めてしまう、という現象なんです。職場での過度なストレスや、改善されない問題に直面し続けると、まさにこの状態に陥ってしまうことがあるんですよ。こうなってしまうと、「自分は被害者だ」と感じやすくなり、他責思考が強くなることもあります。
つまり、どちらか一方が一方的に悪い、という単純な話ではないんです。それぞれの立場に、科学的に解明できる背景や状況が隠されているんですよ。
■「動けない人」の脳内で一体何が起きているの?心理学的なアプローチ
心が弱って動けなくなる「右」の人。彼らが「怠けている」とか「やる気がない」と決めつけるのは、ちょっと早計かもしれません。むしろ、彼らの脳内では、私たちが想像する以上に複雑なことが起きている可能性が高いんです。
まず、ストレスが極限に達すると、私たちの脳の働きは大きく変わります。特に、感情や恐怖を司る「扁桃体」が過活動状態になり、論理的な思考や計画を担当する「前頭前野」の機能が低下することが知られています。これは、アメリカの神経科学者、ジョセフ・ルドゥーが提唱した「二経路理論」にも関連します。危険を感じた時、私たちはまず扁桃体で感情的に反応し、その後に前頭前野で理性的に判断するという二つの経路があるのですが、極度のストレス下では感情的な反応が優位になり、理性的な判断が鈍るんです。
つまり、心が弱っている状態というのは、認知能力が著しく低下している状態だと言えます。新しい情報を処理したり、複雑なタスクをこなしたり、あるいは建設的な解決策を考えたりすることが、文字通り「脳が疲れてできない」状態なんです。経済学の分野では、ダニエル・カーネマンが提唱した「システム1(直感的・感情的思考)とシステム2(論理的・分析的思考)」という概念がありますが、心が弱っているときはシステム2の資源が枯渇している状態に近いと言えるでしょう。
このような状態の人に「頑張れ!」とか「お前のせいでタスクが増えた!」なんて「正論」をぶつけても、どうなるでしょうか?残念ながら、その言葉は彼らの心に響くどころか、むしろ「攻撃」として認識され、さらなるストレス反応を引き起こすだけなんです。扁桃体がまた活性化し、「闘争・逃走・フリーズ」という原始的な防衛反応が引き出されてしまう。結果として、より一層動けなくなり、状況は悪化の一途を辿る可能性が高いんです。まるで、燃えている火にガソリンを注ぐようなものです、なんてよく言われますが、まさに脳内でそんなことが起きているんですね。
■「負担を背負う人」の心の叫び:経済学と心理学で読み解く不公平感
では、一方で「左」の人たちはどうでしょうか?「右」の人の分まで仕事を抱え込み、責任感と疲労感に苛まれている彼らにも、科学的な視点から見て取れる感情や行動のメカニズムがあります。
彼らが感じる不公平感は、経済学の「フリーライダー問題」と関連付けて考えることができます。フリーライダーとは、集団の利益を享受する一方で、その利益のためのコストを負担しない、またはわずかしか負担しない個人のこと。職場という共同体において、誰かが「動けない」ことで、他の誰かがその穴埋めをする、というのはまさにこの構図に当てはまります。一生懸命働く「左」の人たちは、フリーライダーである「右」の人たちに苛立ちを感じ、モラルハザード(規律や倫理が緩んでしまう状態)を感じるわけです。
また、心理学的には「社会的比較理論」も関係しています。人は他者と自分を比較することで、自己の能力や意見、感情を評価しようとします。自分がこんなに頑張っているのに、隣の人はそうではない、と感じると、自分の努力が相対的に評価されていないように感じ、モチベーションの低下や不満につながるんです。特に、組織内での報酬や評価が透明でない場合、この不公平感はさらに増幅されがちです。
「左」の人が「正論」を振りかざしてしまう背景には、こうした不公平感の他に、「自分は正しいことをしている」という強い信念があります。これは「自己奉仕バイアス」という心理的傾向とも関係します。自分の成功は自分の能力のおかげ、失敗は環境のせい、と考える傾向がある一方で、他者の成功は運、失敗は能力のせい、と解釈しがちなんです。そのため、「右」の人が動けないのは、彼らの「やる気」や「能力」の問題だと結論づけ、そこに「正論」で介入することが、正しい行為だと信じてしまうわけです。そして、その「正論」が相手に響かないと、「なぜ私の正しい意見を理解できないんだ?」と、さらにイライラを募らせてしまうんです。
■「正論」が凶器になる瞬間:コミュニケーションの科学が教えること
「正論」って、一見すると正しいし、問題解決に役立ちそうに思えますよね。でも、心が弱っている人に対して「お前のせいでタスク量が増えた」とか「やるべきことをやれ」と正論を並べても、それは薬どころか毒になってしまうことが多いんです。これには、コミュニケーションの科学的な側面と脳の反応が深く関わっています。
心理学では、人間関係におけるコミュニケーションには、「内容レベル」と「関係レベル」があると言われます。正論というのは、まさに内容レベルでの「正しさ」を追求するものです。しかし、相手が心が弱っている時、彼らが一番欲しているのは、内容の正しさよりも、関係レベルでの「安心感」や「共感」なんです。「大丈夫?」という一言は、内容的には薄いかもしれませんが、相手との関係性を築き、安心感を与える上で非常に強力なメッセージとなります。
認知心理学の研究では、人は脅威を感じると、情報を客観的に処理する能力が低下することが示されています。正論であっても、それが相手を追い詰める形であれば、脳はそれを「脅威」と認識します。すると、先ほどお話しした扁桃体が反応し、理性的な判断が麻痺してしまう。つまり、伝えたいメッセージの内容がどんなに正しくても、受け手にとってそれが脅威として認識されたら、もう何を言っても耳には入らない、どころか、むしろ反発や拒絶の感情を生み出してしまうんです。
さらに、「私、間違ったこと言ってる?」なんて言葉を付け加える人もいますが、これは相手への「評価」を暗に含んでおり、心理的なプレッシャーを強める効果があります。カリフォルニア大学の心理学者ポール・エクマンの研究でも、言葉だけでなく表情や声のトーンといった非言語コミュニケーションが、相手に与える印象にどれほど大きな影響を与えるかが示されています。正論を振りかざす人の、無意識の攻撃的な態度やトーンは、相手の自尊心を傷つけ、回復をさらに遠ざけてしまうんですよ。
「加害者の意識がない」まま正論を振りかざす行為は、まさに「火事場にガソリンを撒く」ようなもの。本人は消火活動のつもりでも、結果として火を大きくしてしまう。これは、心理学の「ダニング=クルーガー効果」にも似ています。自分の能力や行動が、他者にどのような影響を与えているかを正確に評価できない状態です。正義感からくる行動であっても、その伝え方一つで、組織全体の生産性を下げ、離職率を高める原因になりかねません。
■組織を蝕む「毒」:制度と経済学の視点から見る日本の職場
ここまでの話は、個人の心理やコミュニケーションの問題に焦点を当ててきましたが、実は、組織の制度や日本の社会構造自体にも、この問題が根深く関わっているんです。特に、経済学的な視点から見ると、非常に興味深い洞察が得られます。
まず、営利組織である会社にとって、「動けない人」は、残念ながら「戦力外」と見なされがちです。しかし、日本の雇用制度、特に解雇規制の厳しさが、この問題に拍車をかけています。労働基準法などによる「解雇権濫用法理」は、企業が従業員を簡単に解雇できないようにすることで、労働者の生活安定を守るという側面がありますが、一方で、能力不足やパフォーマンスが低い従業員を抱え続けなければならないという企業のジレンマも生み出しています。
この状況は、経済学の「プリンシパル=エージェント問題」として分析できます。企業(プリンシパル)は従業員(エージェント)に業務を委ねますが、従業員の行動を完全に監視することはできませんし、従業員は自分の利益(例えば楽をしたい、ストレスを避けたい)を優先する可能性があります。解雇規制が厳しいと、企業は従業員のモチベーションを維持するためのインセンティブ設計が難しくなり、いわゆる「サボタージュ」が起きやすくなるわけです。
また、「動けない人」を追い詰めてもパフォーマンスは落ちるだけ、という経営者や上司の認識は正しいです。統計学的にも、職場のハラスメントや過度なストレスは、従業員のエンゲージメント(仕事への熱意)を著しく低下させ、結果として生産性や企業の利益に悪影響を与えることが多くの研究で示されています。例えば、ギャラップ社の調査では、従業員のエンゲージメントが高い企業は、低い企業に比べて生産性が21%高く、離職率も低いというデータがあります。追い詰める行為は、短期的な「解決」に見えても、長期的には組織に大きな損害を与える「損切り」になってしまうんです。
一方で、サラリーマンの視点から見ると、「心が弱って動けない人に言ってもどうしようもない」というのも正直な意見です。日本の解雇規制が異常なため、能力不足の労働者を会社に原因があると前提され、指導義務を負わされ続ける状況は、真面目に働く人たちに過度な負担を強います。この「できない人は自発的に辞めるのを待つしかない」という制度は、組織全体の活力を奪い、優秀な人材の離職を促す原因にもなりかねません。
さらに、「ネチネチ」とミスを指摘する人。本人は正義感で注意しているつもりでも、これはまさに組織にとっての「毒」です。統計的に、建設的ではない批判やマイクロマネジメントは、従業員のストレスレベルを上げ、精神疾患のリスクを高め、最終的に離職率を押し上げる主要な要因となります。しかし、ダニング=クルーガー効果のように、自分の行動がどれだけ会社に損害を与えているか自覚がないため、改善が難しいという悲しい現実も存在します。
■「正論」の先に目指す、健全な職場環境とは?行動経済学と組織心理学からのヒント
ここまで見てきたように、職場の「動けない人」と「負担を背負う人」の問題は、個人の性格や努力不足だけで語れるものではなく、複雑な心理学的、経済学的、社会的な要因が絡み合っています。では、この状況を改善し、より健全で生産性の高い職場を作るためには、どうすればいいのでしょうか?
まず、重要なのは「心理的安全性」を確保することです。ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン教授が提唱したこの概念は、チーム内で自分の意見や懸念、失敗を率直に表現しても、罰せられたり恥をかいたりすることがないと信じられる状態を指します。心理的安全性が高い職場では、従業員は積極的に意見を出し、助け合い、学び合うことができるため、結果的に生産性やイノベーションが高まります。心が弱っている人も、安心して「助けてほしい」と言える環境があることで、早期の回復につながる可能性が高まります。
次に、行動経済学の知見を活用することも有効です。「ナッジ」という概念がありますよね。これは、「肘でそっと突く」という意味で、人々の行動を強制することなく、望ましい方向にそっと誘導する仕掛けのことです。例えば、「動けない人」に対して直接的に「これをやれ」と言うのではなく、「このタスクを完了した人は、こんな素晴らしい成果を出しました」といったポジティブな事例を共有したり、小さな成功体験を積み重ねられるようなタスクの細分化やサポート体制を整えたりすることで、自発的な行動を促すことができます。
また、職場内のコミュニケーションの改善も必須です。心理学の研究では、ポジティブなコミュニケーションが組織のパフォーマンスを向上させることが示されています。例えば、ジョン・ゴットマン博士の研究では、成功する関係性においては、ポジティブなやりとりとネガティブなやりとりの比率が5対1以上であるべきだと提唱しています。職場においても、ネガティブな「正論」を振りかざすよりも、まず相手の状況を理解しようとする「共感的な傾聴」や、感謝の言葉、ポジティブなフィードバックを増やすことが、関係性を改善し、チームの活力を高めます。
そして、組織としては、問題の根本原因に目を向ける必要があります。なぜ従業員が「心が弱って動けなくなる」のか、その背景にある過重労働、不適切な評価制度、ハラスメント、あるいはキャリアパスの不明瞭さなど、具体的な問題点を特定し、改善策を講じるべきです。これは統計学的なデータ分析が非常に有効です。従業員エンゲージメントサーベイやストレスチェックの結果を詳細に分析し、どの部署で、どのような問題が発生しているのかを客観的に把握することで、効果的な介入が可能になります。
日本の解雇規制の問題についても、一筋縄ではいきませんが、企業は「能力が低い人を解雇できない」という前提に立ち、それ以外の方法で組織の生産性を高める工夫をする必要があります。例えば、再教育プログラムの充実、異動による適材適所の追求、あるいは多様な働き方の導入などが考えられます。できない人を放置するのではなく、「どうすればその人が持つポテンシャルを最大限に引き出せるか」という視点に立つことが、長期的な組織の成長には不可欠です。
■まとめ:個人も組織も「優しい科学」で未来を切り開こう
職場での「動けない人」と「負担を背負う人」の対立は、単なる感情論や個人の善悪の問題ではありません。そこには、人間の脳の働き、心理的な傾向、そして社会経済的な制度といった、様々な科学的要因が複雑に絡み合っています。
「正論」は、時として人の心を深く傷つけ、状況を悪化させる凶器にもなり得ます。特に、心が弱っている人に対しては、まず「大丈夫?」という共感のメッセージを伝えること。それが、科学的に見ても最も効果的な「薬」となるのです。そして、自分自身が「正論」を振りかざしてしまっていないか、俯瞰的に見つめ直す「メタ認知」の視点も非常に大切です。
組織としては、個人の問題に矮小化せず、心理的安全性やナッジといった科学的知見を活かした制度設計、そしてデータに基づいた課題解決に取り組むことが求められます。誰もが安心して働き、自分の能力を最大限に発揮できる場所。そんな職場を実現するためには、私たち一人ひとりが、そして組織全体が、「優しい科学」の視点を持って、行動を変えていく必要があるんです。
今日からあなたも、職場のモヤモヤを科学の目で見てみませんか?きっと、新しい発見があるはずですよ。そして、その発見が、少しでもあなたの職場を良い方向へ動かすきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

