小規模AIが大手を超える!論文を自律再現する革新的なエージェント「Faraday」の正体

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みなさんこんにちは。日夜パソコンの前で新しいオープンソースのモデルがリリースされるたびにワクワクしたり、手元のGPUファンがうなる音を聞きながらコーヒーを飲んだりしているガジェットとAIの大好き人間です。AIの進化って本当に止まらないですよね。ちょっと前まで「プロンプトをどう書くか」で盛り上がっていたかと思えば、気づけばAIが自ら考えてコードを書き、実験をし、論文の検証までしてしまう時代に突入しています。大手企業が何千億というパラメータを持つ巨大な怪物モデルを次々と発表し、資金力勝負の様相を呈しているAI界隈ですが、そんな中にあってロンドンからとんでもないダークホースが現れました。その名も「Inherent」。Google DeepMind出身の猛者たちが集まって立ち上げた、この小さなスタートアップが仕掛けた新しいAIエージェント「Faraday」が、世界の技術者たちの間で今ものすごい注目を集めているんです。今回は、このFaradayが何がそんなにすごいのか、そしてなぜぼくたちの心をこんなにも熱くさせるのかについて、たっぷりと語っていきたいと思います。

■巨大化するAIのトレンドに一石を投じる小粒でピリリと辛いアプローチ

近年の生成AIのトレンドを振り返ってみましょう。とにかくパラメータ数を増やし、学習に使うテキストやコードの量を増やし、世界中のスーパーコンピュータを何ヶ月もぶん回して巨大なフロンティアモデルを作り上げるというのが王道中の王道でした。OpenAIのGPTシリーズやAnthropicのClaudeなど、数千億から場合によっては数兆とも言われるパラメータを持つ巨大モデルが、人間の知識の海を飲み込むようにして賢くなってきたわけです。確かに、これらのモデルは何でも知っているし、綺麗な文章を書くし、プログラミングもこなしてくれます。でも、ここでちょっと立ち止まって考えてみたいんです。何でも屋さんとして作られた巨大なモデルは、確かに万能で便利だけれど、本当に専門的な科学の最前線で「新しい発見」をするための相棒としてベストな選択でしょうか。電気代もかかる、推論コストも莫大、動かすためには専用の大規模なクラスターが必要。そんなリッチな環境がなければ最先端の知能にアクセスできないというのは、なんだかテクノロジーの民主化という観点からも少し息苦しさを感じてしまいますよね。

そんな中で、Inherentが世に放ったFaradayというAIエージェントは、完全にその逆を行くアプローチをとりました。ベースとして使われているのは、アリババが公開している「Qwen」というオープンなモデルです。しかもパラメータ数はわずか270億。昨今の数千億パラメータの怪物たちと比べたら、まるで赤ちゃんと大人ほどの違いがあります。ぶっちゃけ、今のAI業界の基準からすれば「コンパクトなローカルモデル」の範疇に入るサイズ感です。しかし、この小粒なモデルが、世界最先端の超巨大モデルたちを特定のタスクでゴボウ抜きにしたというのですから、エンジニアリングのロマンを感じずにはいられません。ただでかいモデルを作ればいいというフェーズから、いかに効率よく、いかにシャープな知能を限られたサイズの中に宿すかという、本当の意味での知恵比べの時代に突入したんだなと実感させられるエピソードです。

■博士課程の登竜門を自力で駆け抜けるAIエージェントの衝撃

では、そのFaradayが一体何をやったのかというと、公開されている科学論文の結論を自律的に再現するというタスクに挑みました。これ、科学の世界に少しでも身を置いたことがある人なら、そのエグさがよくわかるはずです。科学論文の実験や検証を最初からトレースして再現するというのは、人間の世界でも大学院の博士課程に進んだ学生が、研究者としての基礎を叩き込むために最初に行う非常に泥臭くて高度なトレーニングなんです。先行研究がどんな前提に立ち、どんな仮説を立て、どうやってデータを集め、どこに落とし穴があったのかを完璧に理解していなければ、論文の結論を再現することなど絶対にできません。

人間であっても数ヶ月、場合によっては何年もかかるようなこの試練を、Faradayは答えを事前に一切与えられない状態で、自律的にやり遂げてしまいました。Inherentの共同創業者であるエドワード・ヒューズが語っているように、単に結果として正解の数値を叩き出したことだけがすごいわけではありません。そこに至るまでのプロセス、つまり「どうやってその結論にたどり着いたのか」の道筋こそが、このAIの真骨頂なのです。

ぼくたちはこれまで、AIに対して人間が手取り足取りプロンプトで指示を出し、「こういうコードを書いて」「このデータをこういう風に分析して」と、いわば手取り足取りお世話をしてやることで何とか成果を出させてきました。しかしFaradayは違います。自分で論文を読み解き、足りないピースを考え、必要な実験を組み立て、結果を検証するという一連のループを自力で回してしまう。これはもう、単なる便利なツールという枠を超えて、「デジタルな共同研究者」が誕生した瞬間だと言っても過言ではありません。小規模なモデルでありながらここまで深いレベルの推論と実行ができるのは、モデルの構造や学習のさせ方に、従来の力任せとは違った圧倒的なブレイクスルーがあったからに違いありません。

■ルールを教え込むな、センスを育てろという強化学習の魔法

なぜ270億パラメータという比較的小さなモデルで、ここまで高度な科学的再現ができるのでしょうか。その秘密は、Inherentが採用した訓練アプローチに隠されています。彼らは、AIに対して「こういうときはこうしなさい」という細かいルールや手順を長々と叩き込むような、いわゆる教師あり学習だけに頼ることはしませんでした。代わりに使われたのが、強化学習という手法です。

強化学習というのは、AI自身に試行錯誤をさせ、良い結果を出したときには「よくやった!」と報酬を与え、失敗したときには罰を与えることで、自ら最適な行動パターンを学ばせていく方法です。アルファ碁が人間のプロ棋士の棋譜を覚えたあとに、自分自身と何百万回も対局して人間を超える神の一手を手に入れたのと、基本的には同じアプローチですね。ただ、囲碁のようにルールが完全にカチッと決まっている世界と違って、「科学的研究」という領域はもっと曖昧で、答えが一つではないカオスな世界です。

科学の現場で本当に価値があるのは、単に計算が早いことや、教科書の通りに作業ができることではありません。「そもそも、今この瞬間にどの実験を行う価値があるのか」「この仮説を検証するには、どのような実験をデザインするのが一番エレガントなのか」という、言葉にするのが難しい、いわゆる「研究のセンス」です。Inherentは、Faradayにこの形のないセンスを宿すために強化学習を徹底的に活用しました。良い実験の方向性を見出したときにしっかり報酬を与えることで、AIのなかに「どうすればもっと本質的な問いに近づけるか」という直感を育て上げているのです。

考えてみれば、これは人間の教育ともよく似ていますよね。良い学校に入ってマニュアル通りの勉強ばかりをしてきた優等生よりも、泥臭く失敗を繰り返しながらも「何が面白いのか」「どこに新しい事実が隠されているのか」という嗅覚を磨いてきた研究者の方が、最終的に歴史に残る大発見をしたりします。Faradayは、その「研究者の嗅覚」を、強化学習というデジタルな進化のプロセスを通じて身につけつつあるわけです。AIが自ら興味を持ち、自ら仮説を立て、自ら実験を行う。そんな未来がもう目の前まで来ていると思うと、テクノロジー好きとしては興奮して夜も眠れなくなってしまいます。

■すべてを自前でやらないという大人の選択とオープンなエコシステム

Faradayの面白いところは、アルゴリズムの優秀さだけではありません。彼らの開発スタンスには、非常に洗練された「大人の選択」が光っています。今のAIスタートアップの中には、自分たちのプラットフォームをエコシステムごと閉じられたものにしようとしたり、すべてを自社の巨大なシステムの中で完結させようとしたりする企業が少なくありません。しかし、Inherentは全く逆のアプローチをとっています。

例えば、Faradayは独自のコーディングツールをゼロから開発したりはしません。人間が日々の仕事の中で、GitHub CopilotやVS Code、あるいはOpenAIの既存のツールを当たり前のように道具として使い分けているように、Faradayもまた、世の中にすでにある優れたソフトウェアやツールを自ら道具として選んで利用します。すべてを自前で抱え込もうとせず、人類がこれまでに築き上げてきた最高のツール群をAIが「使いこなす」というスタンスを取っているのです。

これはエンジニアリングの観点から見ても非常に理にかなっています。車輪の再発明をする必要がない部分は既存のベストなものを借りてきて、自分たちは「AIに研究のセンスを宿す」という、自分たちにしかできないコアの部分に全リソースを集中させる。約12人という少数精鋭のチームでこれほど尖った成果を出せているのは、こうした無駄を削ぎ落としたプライオリティの置き方が完璧に機能しているからにほかならないでしょう。

また、彼らが目指しているゴールも非常にユニークです。ユーザーのご機嫌取りをするような、ただ愛想のいいチャットボットを作るつもりは毛頭ありません。彼らが目指しているのは、「頼りになる研究室のチームメイト」です。時には人間が思いつかないような突飛な実験アイデアを持ってきて、「ねえ、これ面白そうだからちょっと試してみない?」と持ちかけてくるような、そんな主体性を持った相棒。AIに使われるのではなく、AIと共に並んでホワイトボードに向かい、新しい科学の扉を開いていく。そんな未来の働き方を、このロンドンの小さなチームは本気で実現しようとしています。

■ロンドンのキングスクロスから始まる次世代AIの鼓動

場所の文脈についても少し触れておきたいところです。Inherentの本社があるのは、ロンドンのキングスクロス。ここは偶然にも、あのGoogle DeepMindが拠点を構える、いわばヨーロッパのAI研究の中心地です。同社の創業者たちもDeepMindの出身というだけあって、ロンドンという街が持つ独特のAI人材の密度の高さや、学術的な深みを最高のかたちで活かしています。

一方で、イギリス特有のビジネス環境におけるユニークな苦労もあるようです。記事の中でも触れられていた「ガーデン・リーブ」という慣行ですね。退職した後に競合他社への転職や起業が数ヶ月間制限されるというこのイギリス特有のルールは、動きの激しいAI業界のスタートアップにとってはなかなかに手強い足枷になり得ます。アメリカのフットワークの軽さと比べると、どうしてももどかしさを感じる部分はあるはずです。それでもなお、その制約を乗り越えて同じ志を持った元同僚たちが集まり、ロンドンの地で新しい挑戦の狼煙を上げたというストーリーには、起業家たちの熱い情熱と反骨精神が感じられて最高にクールです。

たった12人の対面でのチームワークを大切にし、全員が同じ空間でホワイトボードを囲みながら議論を交わしている。クラウドファンディングの画面の向こう側や、リモートワークでバラバラにコードを書いているのとはまた違った、熱量の高いスタートアップの原風景がそこにはあります。年末にかけてさらにチームを拡大し、ゆくゆくは「世界モデル」の領域にも野望を広げていくという彼らのロードマップは、これからのAI業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めています。

■AIは道具から自律的な「共著者」へと進化する

ここまで、Inherentと彼らが開発したAIエージェント「Faraday」の魅力について、技術的な側面や開発の哲学を交えながら語ってきました。要点を振り返ってみると、ただパラメータ数を増やすだけの力任せなアプローチから脱却し、270億パラメータという手頃なサイズのモデルに強化学習で「研究のセンス」を叩き込むという、非常にスマートで効率的な道を選んだこと。そして、すべてを自前主義にするのではなく、既存の優れたツールを賢く使いこなしながら、人間にとっての「頼りになるチームメイト」を目指していること。これらは、これからのAI開発が向かうべき一つの理想郷を指し示しているように思えます。

ぼくたちは今、AIが単なる「便利な検索ツール」や「文章作成マシーン」から、自ら仮説を立て、実験し、新しい知見を人類にもたらしてくれる「自律的な研究パートナー」へと進化する歴史的な転換点に立ち会っています。もちろん、科学の領域だけでなく、プログラミング、デザイン、ビジネスの戦略立案など、あらゆる専門分野において、こうした「センスを持った小さなエージェント」が私たちの相棒として当たり前のように隣に座る日がやってくるでしょう。

朝起きてPCを開くと、Faradayのような相棒が「昨夜、面白い論文を読んだので、こんな仮説でシミュレーションを回しておきました。結果、かなり有望なデータが出ていますよ」と報告してくる。そんな未来はもうSFの絵空事ではなく、今日明日にも現実になりそうな勢いで近づいています。技術を愛する者にとって、今ほどワクワクする時代はありません。巨大なモデルのニュースに驚かされるのも楽しいですが、こうした少数精鋭のチームが知恵と工夫で巨人たちを打ち負かすエピソードを聞くと、なんだか自分も何か新しいコードを書きたくなってきちゃいますよね。

AIの進化のスピードはこれからさらに加速していきます。大手企業の動向はもちろん見逃せませんが、こうしたロンドンの片隅にある小さなスタートアップが仕掛ける次の一手から、これからも目が離せそうにありません。みなさんもぜひ、次にどんなオープンソースのモデルが公開されるか、どんな新しいエージェントの論文が出るかチェックしながら、この最高に面白いAIの時代を一緒に思い切り楽しんでいきましょう。

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