どこに行っても完全に出禁になるモンスター社員の末路と企業側の対策法

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会社の中でどうしても仕事をお願いできなくて、どこの部署やプロジェクトからもお断りされてしまう、いわゆる社内出禁状態になってしまっている社員の存在について考えてみたいと思います。SNSやインターネットのコミュニティを覗いてみると、こうしたパフォーマンスが著しく低くて周囲を困らせている社員についての愚痴や、会社側の苦悩が語られた投稿が大きな話題になることがよくあります。基本的なPCの操作はできるはずなのに書類のミスが多すぎて重要な仕事を任せられないとか、電話対応で取引先をハラハラさせてしまうとか、ほんの小さな判断でも過剰に質問してくるくせに説明しても理解できなくて最後には逆ギレするといった具体的なエピソードが山のように寄せられています。こうした人たちは現場からすると本当に頭の痛い存在で、どこに行ってもトラブルを起こしてしまうため、いつの間にかどのチームからも引き取りを拒否されるようになってしまいます。日本の雇用環境では正社員を簡単にクビにすることができないため、本人は低い評価を受けたとしても給与が大幅に削られるわけではなく、ある意味では仕事をしなくてもお金がもらえる勝ち組のような状態になっているという皮肉な意見もあります。会社側もこうしたモンスター社員を持て余していて、下手に現場に出されると管理コストや修正の手間がかえってマイナスになってしまうため、あえて何の仕事もさせずにデスクでじっとさせておいたり、本社の謎めいた誰もいない部署に追いやって視界に入らないようにしたり、地方の誰もいない支店に飛ばしたりといった様々な対策が取られているのが現実です。時にはものすごく厳しい上司の下に配置して自主退職に追い込もうとしたり、アメリカ式の厳しいパフォーマンス改善計画を適用したり、あるいは根気強く育成を試みた上で最終的な判断を下すべきだという議論が交わされています。解雇規制が厳しすぎるあまり、企業側が抜本的な解決策を出せず、結果として真面目に働いている周囲の社員たちが膨大な精神的ストレスや管理コストを支払わされているという構造的な課題がそこにはあります。この問題について、心理学や経済学、統計学といった科学的なレンズを通して眺めてみると、単なる個人の能力不足や職場の人間関係という枠を超えて、組織の構造や人間の行動原理に関する非常に興味深い事実が浮かび上がってきます。

■能力のミスマッチと雇用システムの経済学

まずは経済学と組織論の観点から、この現象がなぜ起きてしまうのかを考えてみましょう。労働経済学において非常に有名な理論に、ジョージ・アカロフらが提唱した情報の非対称性に関する研究があります。中古車市場において、売り手は車の品質を完璧に知っている一方で買い手はその品質を正確に知ることができないため、結果として粗悪な車ばかりが市場に残ってしまうというレモン市場という概念です。これを日本の雇用環境に当てはめてみると非常に面白いことが分かります。日本の伝統的な雇用慣行である終身雇用やメンバーシップ型雇用は、新卒採用の時点では労働者の能力や適性を完全に見抜くことが難しく、入社後のOJTや長年の経験を通じて能力を開発していくという前提で作られています。しかし、一度正社員として採用してしまうと、解雇に対する法的なハードルが非常に高くなるため、企業側からすると労働者の本当の生産性を後から下方修正して契約を解除することが極めて困難になります。経済学の視点では、これは労働市場における流動性の低さと雇用の硬直化が生み出す構造的な歪みだと言えます。生産性が著しく低い従業員を解雇できない場合、企業は合理的な経済主体として、その従業員を現場から隔離するというコストを選択します。現場にアサインしてマイナスの付加価値を生み出されるよりは、何もしないでデスクに座らせておくか、誰もいない部署に配置転換する方が、トータルの損失を小さく抑えられるという冷徹な計算が働くわけです。本人にとってみれば、どれだけ低いパフォーマンスであってもクビにならないのであれば、努力して高い成果を出すインセンティブが完全に失われてしまいます。経済学で言うところのモラルハザード、つまりリスクを負わない立場にいる人間が不誠実な行動や怠慢な行動をとる現象が、社内出禁社員を生み出す温床になっているのです。また、こうした社員を解雇するためのコストや、裁判に発展した際のリスクを考えると、企業側は毎月一定の給与を払い続ける方がトータルで安上がりだと判断せざるを得ません。この状況は、真面目に働いて成果を出している他の社員からすれば、労働の対価としての報酬の公平性が著しく損なわれているように感じられ、組織全体のモチベーションを根底から破壊する強力な毒素として働きます。

■心理学が解き明かす認知の歪みとモンスター化の正体

次に、心理学の視点からこうした社員の行動原理や周囲のメンタルに与える影響について深く掘り下げてみましょう。問題行動を起こす社員に見られる特徴として、指示を理解できないのに逆ギレする、些細なミスを繰り返すといった点が挙げられますが、これらは心理学におけるダニング・クルーガー効果で綺麗に説明することができます。ダニング・クルーガー効果とは、能力や知識が低い人ほど自分の能力を過大評価し、自分の間違いや未熟さに気づくことができないという認知バイアスの一種です。本当に能力が低い人は、自分がどのような点で間違っているのかを理解するためのメタ認知能力、つまり自分を客観的に見つめる能力が著しく不足しています。そのため、上司や同僚から正当なフィードバックや修正の指示を受けても、それを自分の能力不足として受け止めることができず、自分を攻撃されたと勘違いして防衛本能から逆ギレしたり、相手の教え方が悪いのだと責任転嫁したりするのです。本人の中では自分はちゃんとやっているという歪んだ認知が成立しているため、どれだけ注意しても改善が見られないという泥沼に陥ります。さらに、こうした社員を抱える職場の同僚や管理職の心理的負担についても、心理学的な実験や調査から深刻なデータが出ています。職場における人間関係のストレスや、コントロール不能な他者に振り回される環境は、慢性的な心理的ストレスを引き起こし、バーンアウト、いわゆる燃え尽き症候群の原因になります。組織心理学の研究では、職場の生産性を下げる要因として、能力の低い社員そのものの存在よりも、その社員のフォローに追われる周囲の優秀な社員のメンタルヘルスが蝕まれることの方が、企業にとって遥かに大きな損失であることが示されています。周囲の人間は、いつ爆弾が爆発するか分からない恐怖や、何度教えても同じミスを繰り返す徒労感から、学習性無力感に陥っていきます。学習性無力感とは、何をしても状況が改善しないという経験を重ねるうちに、人間が努力することを諦め、逃走すら試みなくなる心理状態のことです。社内出禁状態の社員を放置することは、周囲のまともな社員たちに対して、どれだけ頑張っても報われないという強烈なメッセージを発信し続けることになり、結果として優秀な人材から順に会社を去っていくという逆選抜現象を引き起こすのです。

■統計データが示す組織崩壊のシグナルとコストの正体

統計学やデータ分析の視点を用いて、この問題が組織全体にどれほどの定量的なダメージを与えているのかを客観的に見てみましょう。多くのビジネスパーソンは、給与が発生している労働者に対して仕事を与えない状態、いわゆる社内ニートや窓際族のコストを、その人の月給だけだと勘違いしがちです。しかし、人的資本管理や組織統計の分野では、コストの計算はもっと多面的に行われます。例えば、ミスが多発することによって発生する手戻りの時間、取引先からの信用失墜による機会損失、そして何よりもその社員の管理やフォローに費やされる周囲の管理職や同僚の労働時間が挙げられます。統計的な調査によると、一人の問題社員のせいで、周囲の社員の生産性が平均して十数パーセント低下するというデータが存在します。もしチーム全体の総人件費が数千万円規模であれば、その十数パーセントの低下は年間で数百万円から場合によっては数千万円の目に見えない赤字を生み出していることになります。さらに、採用コストや育成コストを含めると、問題社員を放置する経済的損失は、本人の年収の数倍に膨れ上がることも珍しくありません。また、統計的に見ても、こうした社員を左遷したり誰もいない部署に追いやったりする対応は、一時的な痛みの回避にはなっても、根本的な組織の免疫力を高めることには繋がりません。むしろ、組織のなかにガバナンスの効かない例外的な領域が存在することを許容してしまい、組織全体のコンプライアンスやパフォーマンスの基準をじわじわと引き下げる結果を招きます。統計的な確率論から言えば、どのような組織であっても採用の段階で一定の割合でミスマッチやパフォーマンスの低い人材が紛れ込むことは避けられません。統計的に確率が決まっている不良品のようなものであるならば、重要なのはその不良品をどう隠すかではなく、不良品が発見されたときにシステムとしてどのように迅速かつ円滑に排除、あるいは適正な場所へ再配置するためのプロセスが構築されているかという点にあります。日本の多くの企業は、解雇の難しさを言い訳にしてこの統計的な確率への対策を怠り、結果として組織のあちこちに澱のように問題を溜め込んでしまっているのです。

■科学的見地から導き出す現代組織の生存戦略

ここまで、経済学の情報の非対称性やモラルハザード、心理学のダニング・クルーガー効果や学習性無力感、そして統計学的なコスト計算という様々な科学的見地から、社内出禁社員を巡る問題の本質を解き明かしてきました。では、こうした現代の組織が直面している難問に対して、私たちはどのように向き合い、どのような行動を起こすべきなのでしょうか。まず第一に、経営者やマネジメント層に求められるのは、感情論を排した冷徹なデータに基づく意思決定です。問題のある社員に対して情けをかけたり、波風を立てないように裏に隠したりするやり方は、短期的な平和をもたらすように見えて、長期的には組織の健康を蝕む致命的な悪手となります。心理学の知見を踏まえれば、人は自分で認知の歪みを修正することは極めて難しいため、客観的なデータや行動の事実に基づいた明確なフィードバックと、避けて通れない境界線を設定することが不可欠です。感情的に怒鳴りつけたり、逆に腫れ物に触るように無視したりするのではなく、定量的な目標と達成基準を定めた上で、それがクリアできない場合の明確なプロセスを透明性高く運用することが求められます。経済学的な視点からも、労働の流動性が低い日本において、社内での再配置やリスキリングの限界を見極めるタイミングを誤らないことが重要です。何度かの訓練や配置転換を行ってもなお生産性の改善が見られない場合、企業はその従業員に対して過剰な保護を提供するのではなく、法的な枠組みの範囲内で最大限のフェアな評価を下し、時には外部の労働市場で活躍の場を探すことを促すようなキャリア支援を行うべきです。もちろん、すぐに解雇することが難しい法律の壁があるならば、その中でいかにして他の社員の心理的安全性を守り、問題社員の影響を最小限に抑えるかという組織防衛のシステムを作ることが最優先課題となります。そのためには、日常の業務プロセスを属人化させず、誰がやっても同じ結果が出せるような仕組み化を徹底することが、結果として問題社員の暴走を防ぐ最大の防波堤になります。さらに、私たち一人ひとりのビジネスパーソンにとっても、こうした組織の歪みに直面したときに、自分の心身の健康を守り、学習性無力感に陥らないためのメンタルヘルスケアや、自分の市場価値を高めておくというキャリアの自立が非常に重要になってきます。どこの部署からも拒絶されるような社員を生み出してしまう組織の構造的欠陥を他人事として見過ごすのではなく、そこから何を学び、自分の所属するチームやプロジェクトの透明性や生産性をどう高めていくのかを考えることが、現代のビジネス環境をしなやかに生き抜くための強力な武器となります。科学的な分析を通じて現実の不条理を客観的に捉え直し、感情に流されずに合理的な一歩を踏み出すことこそが、この根深い問題に対する最も確実な処方箋となるはずです。

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