フィッシュアンドチップスこんなに美味しいのに日本で流行ってないのはおかしい
材料的には日本でも簡単に作れるだろ— やあさ (@wayokan_beta) December 12, 2025
■フィッシュアンドチップス、美味しいのになんで日本でイマイチなの?科学の目で深掘りしてみた!
「フィッシュアンドチップス、美味しいのに日本でなんで流行らないんだろうね?」
こんな素朴な疑問から始まったネット上での議論、皆さんも一度は目にしたことがあるかもしれませんね。イギリスの国民食として世界中で愛されるフィッシュアンドチップス。揚げたての白身魚とホクホクのポテト、モルトビネガーをたらり…想像するだけでお腹が鳴りそうです。材料だって日本で手に入りやすいし、決して珍しい料理じゃない。それなのに、なぜか日本の食卓や外食シーンに定着しないのはどうしてなんでしょう?
今日は、私たち心理学、経済学、統計学の専門家が、この「フィッシュアンドチップス謎」を科学のメスで深く深く掘り下げてみたいと思います。単なる「好き嫌い」では片付けられない、もっと奥深い日本人の食文化や経済行動のメカニズムが隠されているんですよ。一緒に探検してみましょう!
●日本人の「食のDNA」とフィッシュアンドチップスの間に潜む違和感の正体
まず、この疑問の根っこにあるのは「主食」に対する日本人の意識かもしれません。要約でも指摘されているように、「日本には『ご飯』を主食とする文化があるため、チップス(ジャガイモ)を主食とするフィッシュアンドチップスは、日本人にとって『寂しさ』を感じさせるのではないか」という意見、これ、実は心理学的にかなり的を射ているんです。
心理学では、人間が物事を認識し、行動する際の「認知の枠組み(Schema)」という考え方があります。これは、過去の経験や文化を通じて形成された、ある種の固定観念や期待のこと。日本人にとって「食事」とは、ご飯(お米)が中心にあり、そこに汁物、主菜、副菜が並ぶ、という認知の枠組みが深く根付いています。これはもう、私たちのDNAレベルに刷り込まれていると言っても過言ではありません。
例えば、お茶碗にご飯が盛られ、味噌汁と焼き魚、小鉢が並ぶ。これが「ちゃんとした食事」という認識ですよね。ここにご飯がないと、どこか物足りなく感じませんか?「炭水化物を摂った」という満足感はあっても、「ちゃんとした食事をした」という心理的な充足感が得られないんです。
フィッシュアンドチップスの場合、揚げた魚とフライドポテトがメイン。イギリスではこれが立派な「一食」として成り立ちますが、日本人の認知の枠組みに照らし合わせると、「え、これだけ?」という「寂しさ」が生まれてしまいます。この「寂しさ」は、単にカロリーや栄養が足りないというより、心理的な充足感の欠如、つまり「期待していた食事の形」と「実際に提供された食事の形」とのギャップから生じる感情だと言えるでしょう。これは行動経済学で言う「期待理論」にも通じる話で、期待と現実のズレが消費者の満足度を大きく左右する典型例です。
さらに、この「寂しさ」を埋めるために、「ご飯に置き換える」とか「海苔弁のような形で提供されるのが日本的アレンジ」といった意見が出ているのは非常に興味深い点です。これは、無意識のうちに私たちの認知の枠組みを満足させようとする欲求の表れですよね。温かいご飯の上に揚げた白身魚のフライがドンと乗っていて、脇にきんぴらごぼうや漬物が添えられている。これこそが、日本人にとっての「完成された白身魚のフライ定食」であり、心理的な満足感が得られる形なんです。
ほっともっとの「のり弁」が「日本人アレンジとして1000年先を行っている」なんていう比喩表現、まさに言い得て妙。あの海苔とご飯、白身魚のフライ、ちくわ天、きんぴらごぼう、そして漬物の絶妙なハーモニーは、日本人の「食事」に対する認知の枠組みを完璧に満たしてくれる「総合芸術」だと言えるかもしれませんね。
●強すぎる既存のライバルたち~経済学から見る代替競争の泥沼~
フィッシュアンドチップスが日本で苦戦するもう一つの大きな理由、それは「既存の強力なライバルたち」の存在です。要約にもあるように、「白身魚のフライ」は給食やお弁当、そしてハンバーガーチェーン(フィレオフィッシュなど)で既に広く普及しています。さらに、スーパーの惣菜コーナーに行けば「アジフライ」や「ポテトフライ」が手軽に手に入りますよね。
経済学では、消費者が何かを選ぶとき、他の選択肢との比較衡量を常にしています。これを「代替財」の概念で説明できます。フィッシュアンドチップスが提供する「揚げた魚とポテト」という体験は、日本において既に多くの「代替財」によって満たされています。
例えば、マクドナルドの「フィレオフィッシュ」。これもまた、フィッシュアンドチップスと同じく「白身魚のフライ」を使った商品ですが、パンに挟むことで「ハンバーガー」という日本で既に確立された「ファストフードの枠組み」にきっちり収まっています。アメリカのフィレオフィッシュやポテトが先行して日本に進出した影響は計り知れません。これにより、日本人の「揚げた白身魚を食べたい」という需要は、フィッシュアンドチップスという特定の形態ではなく、「フィレオフィッシュ」という別の代替財によって満たされてしまったわけです。
さらに、日本のスーパーやコンビニエンスストア、お惣菜屋さんは、驚くほど高性能な「代替財供給基地」です。温かいアジフライとポテトフライを別々に買ってきて、自宅でご飯と一緒に食べれば、フィッシュアンドチップスが提供する「揚げた魚と揚げた芋」という体験は、より安価に、そして自分の「ご飯と一緒に食べたい」というニーズを満たす形で実現できてしまいます。
ここで心理学の「利用可能性ヒューリスティック」という概念も登場します。これは、人間が意思決定をする際に、記憶の中からすぐに思い出すことができる情報(利用可能な情報)に基づいて判断を下しやすいという認知バイアスです。日本人が「揚げた魚を食べたい」と思ったときに、すぐに頭に浮かぶのは、給食の白身魚フライ、スーパーのアジフライ、あるいはフィレオフィッシュではないでしょうか?フィッシュアンドチップスは、残念ながらこの「すぐに思い浮かぶ選択肢」のリストにはなかなか入ってこないのが現状です。
そして「アンカリング効果」も無視できません。日本人が「揚げた魚」というカテゴリーで最初に体験する、あるいは最も頻繁に目にするのが、前述の代替財たちです。これらの代替財が、日本における「揚げた魚料理」の価格や提供形態、そして満足度の「アンカー(基準点)」を無意識のうちに設定してしまっている可能性があります。フィッシュアンドチップスがそのアンカーから外れると、消費者は「なんか違う」「高い」「不便」と感じてしまいがちなんです。
●お財布と相談?フィッシュアンドチップスの価格問題
経済学のレンズを通すと、価格もまたフィッシュアンドチップスの普及を阻む大きな要因として浮かび上がってきます。要約では、フィッシュアンドチップスが700円程度であるのに対し、のり弁は400円程度で購入できるという指摘がありましたね。この価格差は、消費者の意思決定において非常に大きな影響を与えます。
消費者は、限られた予算の中で、最大限の満足感を得ようとします。これを経済学では「費用便益分析」と呼びます。つまり、「この商品を買うことで得られるメリット(便益)が、支払う価格(費用)に見合っているか?」という比較を無意識のうちに行っているわけです。
のり弁が400円程度で、ご飯もおかずも揃って「ちゃんとした食事」としての心理的充足感を与えてくれるとしたら、同じ「揚げ物メインの食事」として700円のフィッシュアンドチップスは、相対的に割高に感じられるかもしれません。特に、前述の「ご飯がない寂しさ」まで考慮に入れると、その「便益」が価格に見合わないと判断されやすくなるんです。
ここで「価格弾力性」という概念が重要になります。これは、商品の価格が変動したときに、需要がどれくらい変化するかを示す指標です。もしフィッシュアンドチップスの需要が価格に対して高い弾力性を持っている(つまり、少し価格が上がると需要が大きく減る)としたら、700円という価格設定は、多くの日本人消費者にとって購入のハードルになっている可能性があります。
なぜポテトは米に比べて高価になりがちなのでしょう?これは、単価、つまり一食あたりに必要な食材の原価の差が大きいからです。日本の米は、品種改良や生産技術の高さも相まって、比較的安定した価格で供給されています。一方で、フライドポテトに使うジャガイモは、収穫量や国際市況、そして加工の手間(カット、プレフライ加工、冷凍など)を考えると、一食あたりのコストが意外と高くなりがちです。特に、レストランで提供されるようなしっかりとしたフライドポテトは、揚げる手間や油のコストも加わりますから、その分価格に転嫁されるのは自然なことです。
結果として、同じ「手軽な食事」というカテゴリーで比較されたとき、フィッシュアンドチップスは「価格競争力」で劣ってしまう可能性があります。「ポテトと魚、あるいはポテトと肉の組み合わせを好む層」というニッチな需要は存在しても、マジョリティの消費者を掴むには、価格が大きな壁となっているんですね。
●進化する日本の食卓とフィッシュアンドチップスの「手間」
現代の日本人の食卓は、共働き世帯の増加やライフスタイルの多様化に伴い、大きく変化しています。キーワードは「手軽さ」と「効率性」です。スーパーの惣菜や冷凍食品市場がこれほどまでに拡大しているのは、まさにこのニーズを反映しています。
ここでも経済学の「取引コスト」という概念が役立ちます。取引コストとは、何かを購買したり、サービスを受けたりする際に発生する、金銭的なコストだけでなく、時間や労力、情報収集にかかる費用なども含んだ概念です。例えば、自宅でフィッシュアンドチップスを作ろうとすると、材料の調達(魚とジャガイモ、衣の材料)、揚げる手間、油の処理、後片付け…と、様々な取引コストが発生します。
しかし、スーパーに行けば、揚げたてのアジフライが1枚100円程度で手に入り、冷凍のポテトフライなら電子レンジやオーブントースターで簡単に調理できます。これらの選択肢は、圧倒的に取引コストが低いですよね。仕事帰りにパッと買って帰れる、という「利便性」は、現代の日本人にとって何よりも価値のある「便益」となり得ます。
心理学的には「最小努力の原則」が当てはまります。人間は、目標を達成するために最も少ない労力で済む方法を選びたがる傾向があるんです。フィッシュアンドチップスを食べる、という目標に対して、専門店を探して足を運び、注文し、待つ、という一連の行動は、手軽な代替品に比べて労力が大きいと感じられるかもしれません。
また、フィッシュアンドチップスは、その提供形態も日本人の食生活にマッチしにくい可能性があります。イギリスでは新聞紙に包んでテイクアウト、なんていうのが一般的ですが、これを日本でやろうとすると、衛生面や持ち運びの手間など、いくつものハードルがあります。お店で提供する場合も、熱々の揚げ物を最高の状態で提供するには、それなりの設備とオペレーションが必要です。
こうした「手間」や「利便性」の側面から見ると、日本の消費者は既に「手軽に美味しい揚げ物」を食べられる選択肢を豊富に持っているため、あえてフィッシュアンドチップスという形態を選ぶ動機が薄い、という結論になります。真鱈のフィッシュアンドチップスは非常に美味しい、という意見もありましたが、近年の価格高騰は、特に「手軽な食事」として認知されにくいフィッシュアンドチップスのハードルをさらに上げていると言えるでしょう。
●データで見る日本人の食の嗜好と未来へのヒント
残念ながら、「フィッシュアンドチップスが日本でなぜ流行らないのか」という問いに対する直接的な大規模統計データはなかなか見つけにくいものです。しかし、間接的なデータから、日本人の食の嗜好や消費行動の傾向を読み解くことは可能です。
例えば、総務省の家計調査報告などを見ると、魚介類や加工食品、外食費の内訳には、その時々の食のトレンドや消費者の行動が反映されています。近年、特に健康志向の高まりから、油っこい食事を避ける傾向があるというデータや、コンビニエンスストアやスーパーの惣菜の需要が伸び続けているというデータは、前述の「手軽さ」や「健康」という価値観が消費者の意思決定に大きな影響を与えていることを示唆しています。
また、日本人の食文化は、単に「流行り廃り」だけでなく、「浸透性」も重要な要素です。ラーメンやカレーライス、ハンバーグのように、一度日本人の食卓に深く根付いたものは、独自の進化を遂げながら長く愛され続けます。フィッシュアンドチップスは、残念ながらこの「深く根付く」段階に至らなかったのかもしれません。これは統計学的な観点から見ると、市場への浸透率が低い、つまり「ニッチ市場」にとどまっている状態であると言えます。
しかし、希望がないわけではありません。要約にもあったように、「フィッシュアンドチップスを愛好するユーザーも存在し、海外で食べた際の美味しさを語ったり、日本でももっと流行ってほしいという声も聞かれました」。これは、日本にも確実にフィッシュアンドチップスの「ニッチ市場」が存在していることを示しています。
統計学的に見ても、全体のパイは小さくても、特定のセグメントで高いエンゲージメントを示す消費者が存在する場合、そのニーズに特化した戦略は有効です。例えば、イギリス文化を愛する人々、留学経験のある人々、あるいはSNSを通じて海外の食文化に触れるミレニアル世代やZ世代など、特定の層には熱烈なファンがいるでしょう。
これらの層に対して、例えば「本場の味を再現する専門店」「高級魚を使った特別なフィッシュアンドチップス」「クラフトビールとのペアリングを提案する」といった、明確なターゲット層に向けた高品質・高付加価値戦略は、日本市場での新たな活路を見出す可能性を秘めていると言えるでしょう。単に「イギリスの国民食」として漠然と提供するのではなく、「どのような価値を提供できるのか」を明確に打ち出すことが重要になります。
●まとめ:フィッシュアンドチップスが教えてくれる、日本人の食の深淵
いやはや、フィッシュアンドチップスが日本で流行らないというシンプルな疑問の裏には、これだけ複雑で多岐にわたる科学的メカニズムが隠されていたんですね。
私たちが今回掘り下げてきたポイントを改めてまとめると、こんな感じになります。
■心理学的な壁:■ 日本人の「ご飯を主食とする」認知の枠組みと、食事に対する心理的充足感への期待。フィッシュアンドチップスは、この枠組みと期待に合致しにくく、「寂しさ」を感じさせてしまう。
■経済学的な壁:■ 既存の「白身魚のフライ」「アジフライ」「フィレオフィッシュ」「のり弁」といった強力な代替財との競合。これらが低価格で利便性高く、既に市場を飽和させている。
■価格と価値のギャップ:■ のり弁などの安価で満足度の高い代替品と比較して、フィッシュアンドチップスの価格が相対的に割高に感じられ、費用対効果で劣ると判断されやすい。ポテトの原価や手間も影響。
■利便性と取引コスト:■ 現代の日本人が求める「手軽さ」や「効率性」に対し、フィッシュアンドチップスの調理や提供形態、そして専門店を探す手間などが、取引コストとして高く感じられる。
これらの要因は、それぞれが独立しているわけではなく、複雑に絡み合って「フィッシュアンドチップスが日本で流行りにくい」という現象を生み出しているんです。
もちろん、食文化は常に変化し、グローバル化の波も押し寄せています。数十年後には、フィッシュアンドチップスが日本の定番メニューになっている…なんて未来も、もしかしたらあるかもしれませんね。その鍵を握るのは、もしかしたら「日本人の食のDNA」に深く寄り添い、既存の代替財にはない「新たな価値」を提供できるような、革新的なアレンジやマーケティング戦略なのかもしれません。
さあ、皆さんの今日の食卓には、どんな「科学の理由」が隠されているでしょうか?たまには、フィッシュアンドチップスを頬張りながら、そんなことを考えてみるのも面白いかもしれませんね!

