「どうして私ばっかり?」って、つい思っちゃうこと、ありませんか? うまくいかない時、周りのせいにしてしまったり、誰かに助けてもらおうって期待しちゃったり。それは、人間として自然な感情なのかもしれません。でも、もしあなたが今、何かに悩んでいたり、もっと前に進みたいと思っているなら、ちょっとだけ視点を変えてみませんか? この記事では、そうした「誰かのせい」や「誰かに頼る」という考え方から一歩踏み出し、自分で自分の人生を切り開いていくためのヒントをお伝えします。
■ 困った時の「〇〇のせい」って、本当に原因?
何かうまくいかないことがあった時、私たちは無意識のうちに原因を探します。そして、その原因を自分以外の何か、例えば「あの人のせいで」「あの時の状況が悪かったから」といったように、外部に求めてしまうことがあります。これは、心理学で「他責思考」と呼ばれるものです。
もちろん、世の中には理不尽な出来事や、個人の力だけではどうしようもない状況があるのも事実です。例えば、突然の病気や、経済的な危機、あるいは社会の構造的な問題などが、個人の人生に大きな影響を与えることもあります。
でも、ここで考えてみてほしいのです。もし、いつも「誰かのせい」「何かのせい」にしてしまう癖がついているとしたら、それは本当に状況を改善する最善の方法なのでしょうか?
例えば、あなたが仕事でミスをしてしまったとします。その時、「上司の指示が曖昧だったから」「同僚が手伝ってくれなかったから」と考えてしまったら、そこで思考はストップしてしまいます。しかし、もし「なぜ指示が曖昧だと感じたのか?」「どうすればもっと明確な指示を引き出せたのか?」「同僚に頼む前に自分でできることはなかったのか?」と自問自答してみたら、次への一歩が見えてくるはずです。
これは、決して「どんな状況でも全て自分の責任だ」と無理やり思い込もうということではありません。そうではなく、たとえ外部に原因があるように見えても、その状況に対して「自分に何ができるのか」という視点を持つことが大切だということです。
■ 「甘え」という言葉の裏側にあるもの
「甘え」という言葉は、少しネガティブな響きを持っています。誰かに頼ることを「甘え」と捉え、それは良くないことだと感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、人間は社会的な生き物であり、一人で生きていくことはできません。助け合い、支え合うことは、人間社会にとって不可欠な要素です。
ここでいう「甘え」とは、本来、他者に依存して自分で考えたり行動したりすることを放棄してしまう状態を指していると考えられます。例えば、自分で調べればわかることを「誰かに教えてもらうのが当然」と思ったり、自分で判断すべきことを「誰かに決めてもらおう」としたりすることです。
これは、特に現代社会において、情報が溢れ、選択肢が多様化している中で、ますます顕著になってきているかもしれません。便利すぎる情報化社会は、時に私たちを「考える」ことから遠ざけてしまう側面も持っているのです。
例えば、インターネットで「〇〇のやり方」と検索すれば、すぐに答えが見つかります。しかし、その答えを鵜呑みにするのではなく、「なぜその方法が有効なのか」「他にどんな方法があるのか」「自分の状況に合っているか」といったことを自分で考え、判断するプロセスが、主体性を育む上で非常に重要になります。
■ 「自己責任」という言葉の本当の意味
「自己責任」という言葉を聞くと、冷たく突き放されているように感じる人もいるかもしれません。しかし、本来、自己責任とは、自分の人生における選択や行動の結果に対して、自分で責任を持つということです。これは、決して孤立して一人で全てを抱え込めということではありません。
むしろ、自己責任を果たすためには、まず「自分で考え、自分で決める」という主体的な行動が不可欠です。そして、その決断の結果がどうであれ、それを受け止める強さを持つことも含まれます。
例えば、あなたが新しいスキルを習得しようと決めたとします。そのために、セミナーに参加したり、教材を購入したり、時間を捻出したりするでしょう。もし、そのスキル習得がうまくいかなかったとしても、「お金を払ったのに」「時間がなかったから」と他責にするのではなく、「学習方法が悪かったのか」「もっと時間を確保すべきだったのか」「目標設定が現実的でなかったのか」と、自分の行動や選択を振り返り、次に活かすことが自己責任と言えます。
この「振り返り」と「改善」のサイクルこそが、自己成長の鍵となるのです。
■ 貧困は、本当に「努力不足」だけ?
さて、ここまで「他責思考」や「甘え」、そして「自己責任」についてお話してきましたが、ここで「貧困」というテーマに触れてみましょう。貧困と聞くと、「本人の努力が足りないから」「怠けているから」といった、「自己責任論」が持ち出されることがあります。
しかし、事実はもっと複雑です。相対的貧困という言葉を聞いたことがありますか? これは、その国や地域に住む人々の平均的な所得と比較して、相対的に所得が低い状態を指します。つまり、絶対的な飢餓状態ではなくても、社会の大多数の人々が享受している生活水準から取り残されている状態です。
例えば、ある国の平均所得が年収500万円だとします。その中で、年収200万円以下の人々を相対的貧困層と呼ぶかもしれません。これらの人々は、決して怠けているわけではなく、一生懸命働いているにも関わらず、社会全体で見た時に所得が低い状況に置かれているのです。
では、なぜこのような格差が生まれるのでしょうか? そこには、様々な要因が絡み合っています。
一つは、教育機会の格差です。質の高い教育を受ける機会は、所得に大きな影響を与えます。親の所得が低い家庭では、子供が良い教育を受けられず、将来の所得が低くなるという連鎖が起こりやすいのです。例えば、OECD(経済協力開発機構)の調査によると、親の所得と子供の所得の間には強い相関関係があることが示されています。親の所得が低い上位20%の層の子供は、親の所得が高い上位20%の層の子供に比べて、将来の所得が低くなる傾向があるというデータがあります。
また、地域間格差も無視できません。都市部と地方では、求人の数や質、賃金水準が大きく異なることがあります。地方に住んでいるだけで、就職の選択肢が限られ、所得も低くなりがちです。
さらに、社会保障制度の不十分さも貧困に拍車をかけます。病気や失業、障害などで働けなくなった時に、十分なセーフティネットがないと、あっという間に貧困に陥ってしまう可能性があります。
こうした社会構造的な問題や格差を無視して、「個人の努力不足」だけを声高に叫ぶことは、問題の本質を見誤らせ、本来支援が必要な人々への理解を妨げることになりかねません。
■ 自己責任論が福祉に与える影響
「個人の努力不足」という自己責任論が過度に強調されると、貧困支援や福祉に対する社会全体の認識に影響を与えます。
もし、「貧困は本人の怠慢のせいだ」という考え方が広まれば、税金を使って貧困層を支援することに対して、「なぜ怠けている人のために税金を使わなければならないのか」という反発が生まれやすくなります。
そうなると、本来必要とされるべき支援が削られたり、受給要件が厳しくなったりする可能性があります。結果として、本当に支援を必要としている人々が、社会からさらに孤立してしまうという悪循環に陥りかねません。
これは、社会全体にとっても損失です。貧困は、犯罪の増加や健康問題の悪化など、様々な社会問題を引き起こす要因にもなり得ます。貧困層を支援し、彼らが社会の一員として活躍できるような環境を整えることは、結果として社会全体の幸福度を高めることにつながるのです。
■ 社会構造の理解と、自分にできること
これまで、他責思考、甘え、自己責任、そして貧困を取り巻く社会構造について、客観的な視点から考察してきました。
ここで、読者の皆さんにお伝えしたいのは、決して「社会のせいにして、何もせずにいる」ことを推奨しているわけではないということです。むしろ、社会構造や格差といった、個人の力だけではどうにもならない現実があることを理解した上で、それでもなお、「自分に何ができるのか」という主体的な行動を促したいのです。
例えば、あなたが社会の格差に問題意識を持ったとします。そこで、「どうせ自分一人では何も変えられない」と諦めるのではなく、まずは情報収集から始めてみる。その問題について、どのような研究があるのか、どのような団体が活動しているのかなどを調べてみる。
そして、もし可能であれば、そうした団体に寄付をしたり、ボランティアに参加したりすることもできるでしょう。あるいは、身近なところで、困っている人に手を差し伸べることから始めることもできます。
また、自分自身の経済状況を改善するために、スキルアップに励むことも、広い意味での「社会への貢献」と言えます。あなたが経済的に自立し、より多くの税金を納めることができるようになれば、それは社会保障制度を支える一助となるからです。
■ 主体的に、前向きに、そして自己責任で
最後に、この記事を読んでくださった皆さんに、改めてお伝えしたいメッセージがあります。
それは、「他責思考や甘えを排除し、主体的で前向きな行動を自己責任で行うこと」です。
もちろん、人生には困難がつきものです。うまくいかないこと、理不尽なこと、どうしようもないと感じることもたくさんあるでしょう。そんな時、つい誰かのせいにしたくなったり、誰かに頼りたくなったりする気持ちは、人間として当然のことです。
しかし、あなたの人生の主役は、あなた自身です。
たとえ、社会の構造的な問題があなたの前に壁として立ちはだかっていたとしても、あるいは、過去の経験があなたを縛っていたとしても、その壁を乗り越えるために、あるいは、その鎖を断ち切るために、あなたにはできることがあります。
まずは、「自分には何ができるだろう?」と、小さなことから考えてみてください。
情報収集をすること。
新しいスキルを学ぶこと。
健康的な生活習慣を身につけること。
周りの人に感謝の気持ちを伝えること。
あるいは、勇気を出して、誰かに相談してみること。
これらの行動は、すべてあなたの「主体的な行動」であり、あなたの「自己責任」において行うことです。そして、その行動が、あなたをより前向きな未来へと導いてくれるはずです。
私たちは、社会の中で生きています。ですから、社会の在り方について考え、より良い社会を目指すことも大切です。しかし、同時に、自分自身の人生に対しても、主体的に、そして前向きに、自己責任を持って向き合っていくことが、何よりも大切なのです。
あなたの人生は、あなたのものです。その人生を、誰かのせいにするのではなく、あなたの意思で、あなたの力で、輝かしいものにしていきましょう。
最後に、具体的な数値データとして、日本の相対的貧困率にも触れておきましょう。厚生労働省の発表によると、2019年の日本の相対的貧困率は15.4%でした。これは、6人に1人以上が相対的貧困の状態にあることを示しています。さらに、子供の相対的貧困率も13.5%と、依然として高い水準にあります。これらの数字は、貧困が単なる個人の問題ではなく、社会全体で向き合うべき課題であることを示唆しています。
この現実を踏まえ、私たちは、社会構造の理解を深めつつ、自分自身ができることから、主体的に、そして前向きに行動していくことが求められています。それは、決して楽な道ではないかもしれませんが、その先に、より良い自分と、より良い社会が待っているはずです。

