「大卒でも絶望?就活の罠と行動しない罪悪感」

社会

■「自分はダメだ」って諦める前に、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?

「どうせ私なんか」「頑張っても無駄だし」なんて、つい口にしてしまうこと、ありませんか?周りの友達がどんどん内定をもらっていくのを見て焦ったり、一生懸命勉強しているのに成績が上がらないと、「もうダメだ」って投げ出したくなったり。そんな風に、周りの状況や過去の経験から「自分には無理だ」って決めつけて、新しいことに挑戦するのをやめてしまうのは、すごくもったいないことなんです。

確かに、世の中には「大卒以上」といった学歴で応募資格が決まっている求人が多いのは事実です。[1] それを見ると、「自分には選択肢が少ないんだ」って、最初から諦めてしまう気持ちになるのも無理はありません。それに、就職活動が始まっても、一体何から手をつけていいのか分からず、ただ情報を受け身で待っているだけになってしまったり、準備不足のまま「どうせダメだ」って結論づけてしまう人もいるかもしれません。[2]

でも、ここで一つ考えてみてほしいんです。本当に、すべての道が閉ざされているのでしょうか?そして、「努力しても意味がない」という思い込みは、どこから来るのでしょうか?[4] もしかしたら、それは「努力=必ず成功」という、ちょっと極端な期待の裏返しなのかもしれません。例えば、スポーツで一生懸命練習しても、すぐにレギュラーになれなかったり、テストで満点が取れなかったり。そういう経験から、「努力は報われない」という結論に飛びついてしまう。

でも、ちょっと待ってください。努力って、必ずしも目に見える「結果」としてすぐに表れるものなのでしょうか?たとえば、語学を学ぶとき。毎日単語を覚えたり、文法を勉強したりしても、すぐにペラペラ話せるようになるわけではありませんよね。でも、そうやって少しずつ知識を積み重ねていくことで、いつか必ず「話せる」という、その先の目標に近づいているはずなんです。

ここで、面白い研究があります。心理学者のキャロル・ドゥエックは、人々の「能力」に対する考え方には二つのタイプがあることを発見しました。一つは「固定型マインドセット」。これは、「自分の能力は生まれつき決まっていて、努力してもあまり変わらない」と考えるタイプです。もう一つは「成長型マインドセット」。こちらは、「能力は努力次第で伸ばせる」と考えるタイプです。

この二つのマインドセットの違いが、行動にどう影響するかというと、驚くほど大きな差が出ます。固定型マインドセットの人は、少しでも難しい課題にぶつかると、「自分には無理だ」と考えてしまい、すぐに諦めてしまう傾向があります。なぜなら、失敗は自分の能力のなさを証明してしまうからです。一方、成長型マインドセットの人は、難しい課題を「成長のチャンス」と捉えます。失敗しても、「どうすればもっとうまくできるだろう?」と考えて、粘り強く挑戦し続けることができるんです。

つまり、「努力しても意味がない」というのは、もしかしたら「努力してもすぐに結果が出ない」という状況に対する、固定型マインドセットからの自動的な反応なのかもしれません。そして、その「意味がない」という思い込みが、さらなる行動を妨げてしまう、という悪循環に陥っている可能性が高いんです。

■目的を見失いがちな「頑張りすぎ」の落とし穴

さて、もう一つ、多くの人が陥りがちな落とし穴があります。それは、「目標が努力そのものになってしまい、本来の目的を見失ってしまう」というケースです。[5]

例えば、就職活動で考えてみましょう。「とにかく内定を取る」という目標を掲げて、ひたすら説明会に参加したり、エントリーシートを書いたり、面接の練習をしたり。その努力は素晴らしいのですが、なぜ「内定を取りたいのか?」という、その根本的な理由を忘れてしまうことがあるんです。

「安定した生活がしたい」「好きな仕事に就きたい」「社会に貢献したい」…内定を取りたい理由は、人それぞれ、きっと大切なものがあるはずです。でも、ただ「内定を取る」という行為自体が目的になってしまうと、どんな会社でも、どんな職種でも、ただひたすら「内定」というゴールだけを目指して、機械的に動いてしまう。その結果、入社してみたら「あれ?思っていたのと違う…」なんてことになりかねません。

これは、あたかもマラソンで、ゴールテープを切ることだけを目標にして、途中の景色の美しさや、応援してくれる人への感謝、そして走りきった達成感といった、マラソンそのものの体験を味わうことを忘れてしまうようなものです。

努力とは、あくまで「目的を達成するための手段」です。手段が目的になってしまうと、私たちは本来進むべき道から逸れてしまう可能性があります。だからこそ、定期的に「自分は何のために頑張っているんだろう?」と立ち止まって、本来の目的を確認することが大切なんです。

■他人との比較が、あなたから「行動する力」を奪う

そして、さらに多くの人が無意識のうちに陥っているのが、「他人と比較して自己否定し、行動を避けてしまう」というパターンです。[5]

SNSを開けば、キラキラした学生生活を送っている友人や、次々と成果を出している同級生の情報が目に飛び込んできます。「すごいな、自分なんて全然ダメだな」って、あっという間に自己否定に陥ってしまい、気がついたら何も手につかなくなってしまう。

これも、心理学でいうところの「社会的比較理論」が関係しています。私たちは、自分自身の能力や意見を評価する際に、無意識のうちに他人と比較したがる傾向があるんです。これは、進化の過程で、集団の中で自分の立ち位置を確認し、生き残るために役立ってきた側面もあります。

しかし、現代社会、特にインターネットが普及した現代では、この比較が過剰になりがちです。人は、自分の良いところをアピールする傾向があり、SNS上には、どうしても「成功体験」や「キラキラした側面」が集まりやすくなります。その一部だけを見て、「自分は劣っている」と判断してしまうのは、あまりにも不公平な比較と言えるでしょう。

たとえば、あなたが一生懸命課題に取り組んでいるとします。しかし、SNSで他の学生が「こんなすごいプロジェクトを成し遂げました!」と投稿しているのを見て、「自分なんて、こんな小さなことやっていても意味がない」と感じてしまう。その瞬間に、あなたの「課題をやり遂げよう」という意欲は、大きく削がれてしまうかもしれません。

これは、あなたが実際に「ダメ」だからではなく、比較の「対象」と、比較の「仕方」が問題なのです。あなたが努力している過程そのものが、すでに価値のあるものなのに、他人の「結果」と自分の「過程」を比較してしまう。あるいは、相手の「全体像」ではなく、切り取られた「一部分」と自分を比較してしまう。

そうやって、他人との比較から生まれる自己否定感に囚われてしまうと、私たちは行動すること自体を恐れるようになります。「どうせやっても無駄だ」「やっても、あの人には敵わない」そんな思い込みが、あなたをがんじがらめに縛り付けてしまいます。

■「自分には無理」を「どうすればできる?」に変える魔法

さて、ここまでの話を聞いて、「なるほど、でも実際どうすればいいの?」と思われた方もいるかもしれません。大丈夫です。ここからが、あなた自身が「他責思考や甘えを排除し、主体的で前向きな行動を自己責任で行う」ための具体的なステップになります。

まず、先ほどお話しした「固定型マインドセット」から「成長型マインドセット」への転換です。「自分には才能がない」「これは向いていない」といった思い込みを、「どうすればできるようになるだろう?」という探求心に変えていくのです。

例えば、どうしても苦手な科目がある場合。「私、数学は本当にダメなの」と言うのではなく、「数学のどんなところが理解できないんだろう?」「どうすれば、もっと分かりやすく解説してくれる先生や教材を見つけられるだろう?」と考えてみましょう。

具体的な数値で考えてみます。ある研究によると、成長型マインドセットを持つ学生は、固定型マインドセットを持つ学生に比べて、学業成績が平均で20%向上する傾向があるというデータもあります。これは、彼らが困難に直面しても諦めずに、学習方法を改善し、質問をするなどの積極的な行動をとるためと考えられます。

■「なぜ?」を掘り下げる習慣をつけよう

次に、「目的を見失わない」ために、「なぜ?」を掘り下げる習慣をつけましょう。あなたが今、取り組もうとしていること、あるいは取り組んでいることは、本当にあなたの心から望んでいることでしょうか?その目的は、あなたにとってどんな意味を持つのでしょうか?

例えば、就職活動であれば、単に「内定が欲しい」ではなく、「なぜ、その業界で働きたいのか?」「その仕事を通じて、どんな自分になりたいのか?」を具体的に言語化してみるのです。例えば、「IT業界で、人々の生活を便利にするサービスを作りたい。そのために、プログラミングスキルを磨き、チームで協力して新しいものを生み出す経験を積みたい」といった具合です。

この「なぜ?」を明確にすることで、日々の努力に意味が生まれ、モチベーションを維持しやすくなります。また、たとえ困難に直面しても、「この目的のために乗り越えよう」という強い意志が生まれるでしょう。

■比較の軸を「過去の自分」に置く

そして、他人との比較からくる自己否定を乗り越えるためには、比較の軸を「他人」から「過去の自分」に移すことが効果的です。

「あの人は、私よりずっと進んでいる…」と思う代わりに、「去年の自分と比べて、今の自分はどうだろう?」と考えてみてください。例えば、1年前に全くできなかったことが、今なら少しはできるようになっているかもしれません。1年前は、今日こうして新しい知識を学ぼうという意欲も、今ほどはなかったかもしれません。

1年前に比べて、あなたは確かに成長しています。その成長を実感することこそが、自己肯定感を高め、次のステップへと進むための原動力になります。

ある調査では、自己肯定感が高い人は、低い人に比べて、目標達成率が約1.5倍高いという結果が出ています。自己肯定感は、自分を信じる力であり、その力こそが、主体的な行動を後押ししてくれるのです。

■「誰かがやってくれる」という幻想から抜け出す

さらに、重要なのは、「誰かがやってくれる」「誰かが助けてくれる」という甘えの考え方を捨てることです。もちろん、困ったときに助けを求めることは大切ですが、それはあくまで「自分自身でできる限りのことをやった上での、次のステップ」であるべきです。

例えば、仕事で問題が発生したとします。「これは誰かのミスだろう」「上司がなんとかしてくれるだろう」と、他人任せにしてしまうのは、まさに他責思考です。そこで、「この問題に対して、自分にできることは何だろう?」「まずは、この事実関係を整理してみよう」と、主体的に動き出すことが大切です。

「自分にできることはない」と決めつける前に、まず「できること」を探す。その小さな一歩が、大きな変化を生み出します。

■具体的な行動計画を立て、一歩ずつ踏み出す

では、具体的にどう行動すればいいのでしょうか?

1. ■小さな目標を設定する:■ いきなり大きな目標を立てても、挫折しやすくなります。まずは、「毎日10分だけ、新しいスキルを学ぶ」「1日1つ、気になる情報を調べる」といった、達成可能な小さな目標から始めましょう。
2. ■記録をつける:■ 自分が何をしたか、どんな小さな進歩があったかを記録することで、具体的な成長を実感できます。手帳やスマートフォンのアプリなどを活用すると良いでしょう。
3. ■成功体験を意識的に積み重ねる:■ 小さな目標でも達成したら、自分を褒めてあげましょう。「今日もできた!」「この調子で頑張ろう!」というポジティブな感覚が、次の行動への意欲につながります。
4. ■失敗から学ぶ姿勢を持つ:■ 失敗は、成長のための貴重なデータです。「なぜうまくいかなかったのか?」を客観的に分析し、次に活かすことが重要です。
5. ■困ったときは、具体的な相談をする:■ 誰かに相談するときは、「できません」ではなく、「〜までやってみたのですが、ここで詰まっています。ここまでで、〇〇のようなことを試しました。次は、〜のようなことを考えているのですが、アドバイスいただけますか?」のように、自分が主体的に行動した上で、具体的な質問をすることが大切です。

■未来は、あなたが「今」どう行動するかで決まる

もしかしたら、この記事を読んでいるあなたは、今、何かに迷っていたり、自信を失いかけているのかもしれません。しかし、忘れないでください。あなたの過去の経験や、周りの状況は、あなたの未来を決定づけるものではありません。

「大卒以上」という条件にしても、それがすべての可能性を閉ざすものではありません。学歴に関係なく、あなたのスキルや経験、そして何よりも「やりたい」という強い意志があれば、道は開ける可能性は大いにあります。実際、学歴に関係なく、素晴らしい成果を出している人はたくさんいます。

「努力しても意味がない」という思い込みは、あなたの可能性を自ら狭めているだけです。「他人と比較して自己否定する」のは、あなたの貴重なエネルギーを無駄にしているだけです。

未来は、あなたが「今」、どう行動するかで決まります。他責思考や甘えを捨て、自分自身の力で、主体的に、そして前向きに行動していくこと。それが、あなた自身の人生を切り拓く、最も確実で、最も力強い方法なのです。

「自分には無理」という声が聞こえてきても、それはきっと、あなたがまだ、その「無理」を「どうすればできるか」に変えるための、具体的な一歩を踏み出していないだけなのかもしれません。

さあ、今日から、ほんの少しでもいい、あなた自身の力で、新しい一歩を踏み出してみませんか?その一歩が、あなたの想像を超える未来へと繋がっていくはずです。

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