ここ最近謎おじさんからちょいちょい、ブランド立ち上げませんか?みたいな話貰うんですが、
言われた通り企画書作って話詰めてる中で、
ブランド商標権とかコールオプション要求するとみんなそそくさ消えてく。— 黄色人種ちゃん (@dekaketu_purin) March 10, 2026
SNSで「ブランド立ち上げ」という甘い誘いに乗ったら、実は「やりがい搾取」の罠だった!インフルエンサーの夢を食い物にする悪質ビジネスの裏側を、心理学・経済学・統計学の視点から徹底解剖!
■インフルエンサーの「夢」を餌にする巧妙な手口
最近、SNSなどで「インフルエンサーの〇〇さん、ブランド立ち上げの話があったけど、企画書や財務計画の話になると相手が逃げ出しちゃったらしいよ」なんていう話、耳にしたことありませんか?これは、単なる残念なビジネスの失敗談ではなく、インフルエンサーの知名度や熱狂的なファン層を悪用し、実質的な労働力を無償、あるいは格安で利用した上で、ブランドの権利や利益をすべて奪い取ろうとする、非常に巧妙なビジネスモデルが確立されている可能性を示唆しています。
「君なら、きっと素敵なブランドが作れるよ!」「デザインなんて難しくないよ。君が普段から使っているものとか、好きな雰囲気をセレクトして、タグを変えて売るだけでいいんだよ」――こんな甘い言葉でインフルエンサーを誘い込み、あたかも一緒に夢を叶えるかのような雰囲気を作り出します。そして、インフルエンサーは持ち前の発信力とファンとの信頼関係を駆使して、商品開発やプロモーションに情熱を注ぎます。しかし、いざ蓋を開けてみると、売上の大部分は主催者に流れ、インフルエンサーには僅かな報酬しか残らない、あるいは全く残らないというケースが後を絶たないようです。
さらに悪質なケースでは、インフルエンサーに運転資金と称して少額を渡し、数ヶ月間、無償でブランドの立ち上げに尽力させた後、ブランドを乗っ取ってしまうという手法まで報告されています。まるで、インフルエンサーの熱意や才能を「搾取」するかのようです。これは、しばしば「やりがい搾取」と揶揄される状況そのものと言えるでしょう。
■「サンクコストの罠」と過去の芸能事務所の教訓
なぜ、インフルエンサーはこのような甘い言葉に騙されてしまうのでしょうか?ここには、心理学における「サンクコスト効果(埋没費用効果)」が深く関わっています。サンクコスト効果とは、一度支払ったコスト(時間、労力、お金など)を惜しむあまり、合理的ではない選択を続けてしまう心理現象です。インフルエンサーは、ブランド立ち上げに時間と労力を投じれば投じるほど、「ここまで頑張ったのだから、ここで諦めたらもったいない」「もう少し頑張れば、きっと成功するはずだ」と、ますますそのプロジェクトに固執してしまうのです。
この手口は、実は過去に芸能事務所が新人タレントに対して行っていた手法の、現代版とも言えます。かつて、芸能事務所は新人タレントに「夢を叶えるためには、まずレッスンや宣伝活動に専念してもらわないと」と、無償あるいは低賃金で働かせ、その間に事務所はタレントの知名度を上げ、将来的な収益源を確保していました。そして、タレントが人気が出てきた頃には、事務所はすでにそのタレントの権利や収益を握っている、という構造です。
今回問題になっているのは、この構造がD2C(Direct to Consumer)という、メーカーが消費者に直接商品を販売するビジネスモデルと結びついた形です。インフルエンサーは、自身のフォロワーという強力な顧客基盤を持っているため、メーカー側にとっては、宣伝・販売のコストを大幅に削減できる魅力的な存在です。しかし、その魅力につけ込んで、本来インフルエンサーが果たすべき「販売促進」という役割を超えて、「ブランドの企画・開発・運営」という、より専門的で労力の要る業務まで無償で担わせようとする悪質な事業者が現れているのです。
■「ブランド持ちたい」という欲求と「カモ」にならないための戦略
では、なぜインフルエンサーは「ブランドを持ちたい」という欲求に駆られるのでしょうか?ここにも、心理学的な側面が隠されています。自己決定理論によれば、人間は「自律性」「有能感」「関係性」という3つの基本的な心理的欲求を満たしたいと考える傾向があります。インフルエンサーとして活動することは、ある程度これらの欲求を満たしているとも言えます。しかし、「自分のブランドを持つ」ということは、その「自律性」をさらに高め、自身のクリエイティビティを形にし、「有能感」をより強く実感できる、非常に魅力的な目標となり得ます。
経済学的な視点で見ると、インフルエンサーの収益源は、広告収入やタイアップ案件が中心です。これらの収入は、プラットフォームのアルゴリズムや広告主の意向に左右されやすく、不安定な側面もあります。一方、自身のブランドを立ち上げ、成功させることができれば、より安定した、そして大きな収益を得られる可能性があります。この「より大きなリターン」を期待する心理が、リスクの高いブランド立ち上げ話に飛びついてしまう要因の一つと言えるでしょう。
しかし、残念ながら、この「ブランドを持ちたい」という純粋な欲求や、より安定した収益を得たいという経済合理性につけ込んで、巧みに「カモ」にしようとする人々が存在するのです。統計学的な見地で言えば、SNS上では、成功事例ばかりが目につきやすく、失敗事例や悪質な手口については、当事者以外にはなかなか情報が届きにくいという構造があります。そのため、自分だけが「特別な存在」であり、「成功できる」と思い込まされやすいのです。
■ディレクターの突然の引退、権利を奪われるインフルエンサーたち
このようなインフルエンサーによるブランド立ち上げの事例は、アパレル業界に限らず、韓国や日本をはじめとする多くの国で、インフルエンサーの間で見られる現象です。そして、数年で突然ブランドディレクターとしての活動を引退するインフルエンサーが後を絶たないという事実も、この問題と無関係ではないと考えられます。
中には、インフルエンサー自身が企画段階からデザイン、サンプル作成まで、熱意をもって関わったにも関わらず、最終的にブランド化に至らず、権利を主張できないまま泣き寝入りしてしまうケースも少なくありません。これは、契約書を交わさずに口約束だけで進めてしまったり、権利関係の取り決めを曖昧にしたまま事業を進めてしまったりすることが原因です。
過去には、個人でアプリを開発していた学生が、契約書を交わさずに進めたプロジェクトの権利を、協力者だった企業に不当に奪われそうになった、という事例も共有されています。また、音楽業界においても、才能あるアーティストが、レコード会社やプロデューサーとの契約内容を十分に理解しないまま、権利を侵害されるというケースは枚挙にいとまがありません。これらの事例は、インフルエンサーとブランド立ち上げのスキームが、形は違えど、根底では同じような構造を持っていることを示唆しています。
■「相手が儲かるスキーム」に気づかない「カモ」にならないために
これらの問題点を踏まえると、インフルエンサーがブランド立ち上げの話を受けた際に、最も重要なのは、「パッション」や「夢」といった感情論に流されず、冷静に事業の現実を見極めることです。「相手が儲かるスキーム」に、自分自身が「カモ」として組み込まれていないか、常に疑いの目を持つことが大切です。
具体的に、どのような点に注意すべきでしょうか。まず、事業コンセプトの明確化です。どのような商品を作り、誰に販売し、どのように収益を上げるのか。これが曖昧なままでは、計画そのものが成り立ちません。次に、財務計画です。初期投資はいくらかかるのか、売上予測はどうか、利益はどれくらい見込めるのか。これらの数字を具体的に示せない相手は、信頼できない可能性が高いです。
そして、何よりも重要なのが、商標権や著作権、その他の知的財産権などの「権利関係」の取り決めです。ブランド名はどうするのか、ロゴのデザインは誰のものになるのか、商品のデザインは誰が権利を持つのか。これらの権利関係が曖昧なままでは、将来的に大きなトラブルに発展する可能性があります。
■専門家との連携が、あなたの夢を守る鍵
このような状況を防ぐために、インフルエンサーがブランド立ち上げの話を受ける際には、初期段階から弁護士や司法書士、税理士といった専門家を交え、書面での明確な取り決めを行うことが不可欠です。
例えば、株式会社を設立するのであれば、出資比率や役員構成、利益配分などを細かく定める必要があります。業務委託契約を結ぶ場合でも、インフルエンサーの役割、報酬、そして何よりもブランドに関する権利の所在を明確に記載しなければなりません。
「え、そこまでしないといけないの?」「なんだか堅苦しくて、夢が壊れそう…」と感じるかもしれません。しかし、これは夢を壊すためではなく、あなたの夢を、そしてあなたの努力を、法的に守るための最も確実な方法なのです。
心理学的には、契約書という「形式的なルール」があることで、感情的な摩擦を避け、冷静な判断を促す効果もあります。経済学的には、権利関係を明確にすることで、将来的なリスクを低減し、安定した事業展開を可能にします。統計学的には、過去の類似事例を分析し、リスクを回避するための「確率論的な安全策」を講じることだと言えます。
■成功への道は、賢い知識と準備から
SNSで成功しているインフルエンサーの多くは、単に魅力的なコンテンツを発信しているだけでなく、ビジネスとしての側面も理解し、慎重に活動しています。彼らは、自身のファンを大切にし、その信頼を損なわないよう、透明性の高い情報発信を心がけています。
もしあなたが、インフルエンサーとして、あるいはクリエイターとして、自身のブランドを立ち上げたいと考えているのであれば、甘い言葉に惑わされることなく、まずはしっかりと知識を身につけることから始めてください。そして、信頼できる専門家を見つけ、あなたの夢を守り、そして現実のものとするための「賢い準備」を怠らないでください。
この情報が、一人でも多くのインフルエンサーが、悪質なビジネスモデルの犠牲になることなく、自身の才能と努力を最大限に活かし、真に成功するブランドを立ち上げるための一助となれば幸いです。あなたの情熱と、それを支える知恵と準備が、輝かしい未来を切り拓く鍵となるでしょう。

